ただし，南下浦断層の海域への延長は不明であり，海域へ連続するとすれば断層長はさらに長くなる。調査地域東方の海域には金田湾断層が確認されている。金田湾断層の陸上への連続は不明であるため，南下浦断層と金田湾断層の関係については，今後の海域調査結果を待つ必要がある。また，本調査によっても単位変位量を精度良く決めることができず，これに関しても今後の研究によって特定してゆく必要がある。

本報告によって，南下浦断層が完新世に活動していないことが明らかになり，本活断層の活動度は，少なくとも最近の地質時代においては高くはないと推定できる。しかし，トレンチ調査では複数の活動時期を特定できなかったため，平均的な活動間隔をもとに，近い将来における南下浦断層の活動の可能性については言及できない。