(2)探査仕様の決定理由

南下浦断層は初声層と宮田層の地質境界断層である。比抵抗を決定する要因である間隙率,飽和度,構成粒子,粘土含有率などは各地層で異なり,初声層と宮田層の比抵抗は明らかに異なると想定できる。したがって,比抵抗分布から両地層の分布状況を知ることでき,また断層の位置や性状を捉えることができると考えられた。

金田地区は,引橋断層の地溝が存在する地域である。初声層で構成される地溝内には,宮田層が堆積していることが報告されている。また,南下浦断層と同様の理由から比抵抗分布を知ることで断層の位置や性状を捉えられると判断した。

電気探査は,分解能を高めることに主眼を置いた。電気探査における高分解能の利点は次のとおりである。

(1) 地層境界としての断層形状を詳細に把握できる。

(2) 第四紀層の変形状況を捉えることができる。

(3) 盛土,地盤改良範囲を推定することができる。