2−2 ボーリング調査

ボーリング調査は,地下の地質分布や性状の把握,二次元比抵抗探査における比抵抗分布との対比,地層の年代試料などを得ることを目的として,オイルフィード型ロータリー式試錐機を用いて行った。

ボーリング調査は,地形地質調査結果などによりトレンチ掘削が可能な地点を選定し,地権者の了解が得られた2つの地区で実施した。2つの地区の地形地質および既存文献による断層の記載の概要は,以下のとおりである。

<菊名地区(南下浦断層)>

ボーリング調査地点は,北東へ流下する谷底低地で標高25m前後の平坦地である。調査地点は竹林であり,人工的な盛土・埋土はほとんどないが,調査地点の下流域は繰り返し盛土され,耕作地として利用されている。

菊名地区周辺の基盤地質は,断層下盤側(北側)は宮田層,断層上盤側(南側)は初声層である。

<金田地区(引橋断層)>

ボーリング調査地点は,金田集出荷場の西北西約150mにある,標高20mの谷頭緩斜面である。この緩斜面は,北東に延びる谷底低地の支谷であり,窪地状の小規模な集水地形を形成するが,現在は盛土・埋土され平坦な耕作地として利用されている。

金田地区は引橋断層トレースの西側に位置し,引橋断層の活動で生じた地溝が通過するとされた地点である(太田ほか:1992,垣見ほか:1971)。

また,太田ほか(1992)は,調査地に隣接する谷に見られる西北西方向の小崖が,引橋断層の低断層崖である可能性を示している。

金田地区周辺の基盤地質は,初声層であり,金田地区周辺では凝灰質砂岩層の露頭が多く分布している。この地区周辺の初声層の地質構造は,N50〜80°Wの走向で,北に20°前後傾斜する単斜構造である。

南下浦断層東部の地形と菊名地区の位置を図2−8に,引橋断層の地形と金田地区の位置を図2−9にそれぞれ示す。

図2−8 南下浦断層東部の地形と菊名地区の位置 縮尺1:5,000

 1995年三浦市発行「国土基本図」を使用

図2−9 引橋断層の地形と金田地区の位置 縮尺1:5,000

 1995年三浦市発行「国土基本図」を使用