1−3−5 南下浦断層のトレンチ(菊名地区)の調査結果

トレンチの東西両壁面において2〜3条の断層が確認された。いずれも南傾斜の高角度逆断層である。西側の断層追跡溝での破砕帯状況から,南下浦断層は繰り返し活動していると判断できるが,時期を特定できるのは最新活動のみである。最新の活動時期は,20,000〜22,000yrsBPである。トレンチで複数回の断層活動期を確認できなかったことから,活動間隔を言及することはできない。

単位変位量はF層の分布形態から求めたところ,鉛直変位量は約1m,水平変位量は約2mであり,単位変位量は約2.2mとなる。

活動間隔が確定できないことから,平均変位速度は不明である。しかし,最新活動時期と単位変位量から,南下浦断層の平均変位速度を試算すると,約2.2m/20,000〜22,000年であり,1,000年あたり約0.1mの平均変位速度となる。この値は松田(1975)による基準では,活動度Bクラスの最小値である。