(2)ボーリング調査結果

なでしこ運動広場におけるトレンチ掘削位置を決定するにあたって、断層通過地点を推定する目的で、10mのボーリングを3本掘削した(図29)。

長瀬ほか(1996)の記載した断層露頭の写真では、腐植層と礫層とが急傾斜する(ほぼ直立してみえる)断層によって接している。そこで、腐植層の不連続を断層位置と考え、3本のボーリング調査によってこれを確認しトレンチ位置を決定した。

採取したボーリング地質図(1:100)を図30に示す。これらのコアについて盛土以下に上位より番号を付した。B−1コアの地層は1−1〜1−5に、B−2コアでは2−1〜2−3に、B−3コアでは3−1〜3−3に区分した。それぞれについて観察された地層の層相を、次に示す。なお、色調は土色帳による。

盛土層:暗褐色〜灰オリーブ色を呈する亜角礫層である。マトリックスはシルトであるがルーズで、全般的に不均質である。B−2、B−3では層厚約3mであるが,B−1では層厚1mである。

B−1

1−1(B−1,GL−1.00〜−2.22m):暗褐色〜黒褐色を呈する。全般的に砂質シルトであるが、下部(GL−8.86〜−2.05m)には淘汰の良い細砂層が挟まる。

1−2(B−1,GL−2.22〜−5.40m):黒色〜オリーブ灰色を呈し、細礫まじりの有機質シルト〜シルト質砂、シルト質細砂、大礫サイズの亜円礫を含む砂礫層より構成される。またGL−2.60〜−2.88mの砂層およびGL−4.60〜−4.93mのシルト質砂層には、逆グレーディングが見られる。

1−3(B−1,GL−5.40〜−6.80m):暗褐色〜灰オリーブ色あるいは暗緑灰色の、砂礫層とシルト質砂層との互層である。礫層は中礫主体の亜角礫でまれに大礫が含まれる。マトリックスはシルトまたは砂で、全般的にルーズである。

1−4(B−1,GL−6.80〜8.32m):有機質シルト層で、細礫が混じる。

1−5(B−1,GL−8.32m〜):中礫〜大礫の亜角〜亜円礫で、マトリックスは灰オリーブ色を呈するシルトまたは砂である。

B−2

2−1(B−2,GL−2.77〜−6.20m):暗褐色〜灰オリーブ色あるいは暗緑灰色の、砂礫層とシルト質砂層との互層である。礫層は中礫主体の亜角礫で大礫が含まれるが、上部より下部の方が粒径が小さい傾向がある。マトリックスはシルトまたは砂で、全般的にルーズである。

2−2(B−2,GL−6.20〜−8.98m):黒色〜緑黒色を呈する有機質シルトと細砂の互層である。GL−6.61〜−6.90mには中礫主体の砂礫層が挟まれる。有機質シルト層には細礫まじりの部分と砂質の部分がある。

2−3(B−2,GL−8.98m〜):中礫〜大礫の亜角〜亜円礫でマトリックスは灰オリーブ色を呈するシルトまたは砂である。

B−3

3−1(B−3,GL−2.95〜−7.95m):暗褐色〜灰オリーブ色あるいは暗緑灰色の、砂礫層とシルト質砂層との互層である。礫層は中礫主体の亜角礫で大礫が含まれるが、上部より下部の方が粒径が小さい傾向がある。マトリックスはシルトまたは砂で、全般的にル−ズである。

3−2(B−3,GL−7.95〜−8.47m):有機質砂質シルト層である。

3−3(B−3,GL−8.47m〜):中礫〜大礫の亜角〜亜円礫で、マトリックスは灰オリーブ色を呈するシルトまたは砂である。

これらの地層のうち、B−1コアの<1−4>とB−2コアの<2−2>の有機質シルト層が対比されると考え、B−2とB−3コアの間に断層が存在するものと推定した。