3−1−5 既存ボーリングデータの調査結果

秦野盆地の基盤を形成する地層は、第三系中新統〜鮮新統の丹沢層群と鮮新統〜更新統の足柄層群である。これらの基盤岩類は盆地の北に広がる丹沢山地に分布しており、盆地の西側及び東側の尾根と盆地の南側に広がる大磯丘陵の西半分を形成している(図6)。南東部では基盤は金目川をわたって上智大学の工事現場で確認されている。盆地内の基盤岩類の深さは、既存のボーリングでは直接確認されていないが、盆地を埋積している堆積物はもっとも深い盆地の南西部で標高−30mまで確認されている。電気探査の比抵抗値から基盤の深さを想定すると図6のとおりで、基盤岩類の上面は秦野断層、渋沢断層によって切断されているが、大局的には北から南東に傾斜している。

基盤岩類が形成する盆地状構造を埋積している堆積物は、主に丹沢山地から流出する各河川により搬出された砂礫と箱根火山、富士火山起源の火山噴出物で、電気探査の結果からの厚さは最も厚いところで150mを越えている。これらの堆積物に介在される鍵層としてTP(東京軽石)、TPfl(東京軽石流)、AT(姶良丹沢火山灰)などが確認されている。

秦野地区ボーリング柱状図により、堆積年代の異なる砂礫層や広域テフラの識別が可能であり、主要テフラについて上杉ほか(1980)のテフラ層序に基づき同定がなされてる(表6)。その結果に基づいて断面図を描くと図7図8のとおりである。図7は北西−南東、図8は北東−南西方向の地質断面で、秦野断層の動きが示されている。渋沢断層の南側の金目川の沖積層河床礫層下底面は、河川の傾斜とは逆に南から北に傾斜していて、大磯丘陵の完新世における傾動を示している。

表6 ボーリング資料のテフラの層厚による地層の識別