3−2−3 断層の構造

一般に、断層の形態は、横ずれか縦ずれかのセンスはもちろん、地盤の物性にも支配され、かつ、被覆層の種類や層厚、断層の変位速度や変位量にも左右される。すなわち、岩盤物性が脆性物質の場合は明瞭な断層面が形成されやすく、しばしば破砕帯を伴うと考えられ、逆に延性物質ではあまり明瞭な断層面は形成されず、小キレツの集合体となると考えられる。さらに、未固結の被覆層が厚い場合は断層面が地表に現われにくく、地層の撓曲あるいは傾動として現われることが考えられる。

実際に、伊勢原断層においては、いずれの地域においても断層面が直接、地表に現われることがなく、露頭で観察することができない。断層位置にしても、清川ゴルフ場の南側でかなり狭い峡谷に断層が推定できる他は、位置の特定さえも困難な場合がある。これは、伊勢原断層の通過する地質が、軟質なローム層や未固結の沖積層が多いことと、断層変位量が比較的小さいためと考えられる。

本調査の結果から、伊勢原断層の構造は以下のように推定される。

厚木市岡田から伊勢原市日向を通り伊勢原浄水場にかけての大深度反射法探査(S−1)の結果から、伊勢原断層に相当する断層が把握され、東傾斜約50°で東上がりの逆断層構造として認められる。平塚市北金目の浅層反射法探査(S−2)の結果から、伊勢原断層の地表下浅部では4条の断層群として分布し、東傾斜約50〜60°で東上がりの逆断層構造として認められる。日向地区、峰岸地区では撓曲または傾動が認められ、北金目地区では西側へ傾斜した断層変形帯と推定される。

このように、伊勢原断層は地下浅部では単一の断層線ではなく、複数の小断層に分岐するが、必ずしも地表近くの地層は切れずに、緩やかな地層の傾動または撓曲構造や、ある程度の幅を持った断層変形帯を示すものと考えられる。