(2)位置(決定の理由と経緯)

トレンチ調査は、反射法探査とボーリング調査結果により、伊勢原断層の中央部に位置する日向地区と、南端部の北金目地区の2箇所で行った(図2−5−1 )。岡崎地区(駒形神社)は、断層通過位置付近に町道が位置し、トレンチ掘削を行うには不向きであった。

<日向トレンチ> 伊勢原市日向

扇状地の末端部に東上がりの活撓曲と考えられた低い崖の連続があり、ボーリング調査の結果、緩く西に傾斜する地層を確認した上でトレンチ位置を決定した。日向川扇状地を形成する礫層は本来、東傾斜であるが、それが西傾斜を示すことは断層変位の結果と考えられた。なお、トレンチ周辺は、ほぼ全域が遺跡の指定地にあたり、トレンチ調査の前に遺跡発掘調査を行う時間がないことから、指定されていない範囲を選定した。土地利用は、水田と桑畑であり、トレンチの南側には宅地が近接している。

<北金目トレンチ> 平塚市北金目

地形的な手掛りは特にないが、主として、浅層反射法探査の結果をもとにした断層通過位置と、ボーリング調査の結果をもとにした地層分布の高低差(地層の垂直変位と考えた)から、トレンチ位置を決定した。土地利用は水田である。

浅層反射法では、深部の地層を切る何本かの断層線が推定されており(傾斜50〜60゜)、ボーリング調査からは、深度5.5〜7mの白色火山灰の標高差が35cm及び53cmと検出されたので、断層が存在する可能性があると判断し、トレンチ掘削に着手した。