(1)清川村柳梅地区

柳目地区は、小鮎川の上流域に位置し、その両岸に変位基準となる立川面および沖積面が連続分布することなどから、詳細調査の対象地区として選定した。なお、本地域の地質平面図を図2−2−4に、地形・地質断面図を図2−2−5に示した。

本地区の大半は、新第三系の丹沢層群と愛川層群からなる山地で、第四系は小鮎川沿いにみられる。小鮎川沿いには立川ローム層、立川段丘礫層が確認できる

清水ヶ丘団地東側の丘(地質平面図中央下)と金翅川と小鮎川の合流点近くの2カ所で断層露頭が確認されたが、第四紀層の変位は確認できなかった。

小鮎川東岸、柳梅橋付近の新しい崖錐堆積斜面上に高さ2〜3m、延長500mの低断層崖と思われる低崖の連続を確認した(B−B´断面)。この崖は、北方では崖錐堆積斜面と山地との境界付近にみられる低崖に連続し(A−A´断面)、南方では新第三系の急崖、段丘崖に連続する。

また、地形判読により確認された清水ヶ丘団地南の谷底から鞍部に連続する低断層崖は、現在ではゴルフ場開発等に伴う人工改変のため確認できない。

<A−A´断面>

@小鮎川西岸には、露頭及び既存ボーリング資料により新第三系の基盤岩、立川段丘礫相当層、立川ローム層を確認した。東岸の新第三系からなる山の麓は広く崖錐堆積物が被覆しており、立川段丘礫層は確認できたが、立川ローム層は確認できなかった。しかし周辺の地質状況から推定すると立川ローム層も堆積していると考えられる。

A小鮎川東岸の崖錐堆積斜面上の山地側に高さ2〜3mの低崖が確認された。この低崖はB−B´断面で推定した低断層崖の延長上にあり、低断層崖が連続している可能性がある。しかし、農道脇に連続する崖であることから人工の手が加わっていると推定される。現在では植生に覆われており地質の状況は確認できず、全体が人工的な崖なのか低断層崖に人工の手を加えたのかは不明である。

<B−B´断面>

@小鮎川東岸の立川面は、その山側を崖錐堆積物に覆われている。この崖錐堆積斜面の末端部に沿って、高さ2〜3mの低崖が長さ約500mにわたって認められた。同一地形面上に直線状に連続する崖であることから低断層崖の可能性が高い。ただし、中心付近は小鮎川の沖積層に接していることから、侵食も加わっていると考えられる

A小鮎川の両岸に分布する沖積面は東側が西側より1〜2m高くなっており、断層変位の可能性もあるが、西側は現在、村営グランドとして造成されているために、この高度差が断層変位によるものかどうかは不明である。

図2−2−2 地質平面図(1/5,000)の凡例

図2−2−3 地形・地質断面図及び柱状図の凡例

図2−2−4 地質平面図(清川村柳梅地区)

図2−2−5 地形・地質断面図(A、B断面)