(4)伊勢原断層周辺の古地震

伊勢原周辺の遺跡における地震の影響は、上本54)55)56)57)58)及び上本・上杉(1996)59)により報告されている(遺跡の位置は図2−1−4参照)。

上本(1990b)55)は砂田遺跡において縄文早期にロームの層理面に沿って土壌群が地すべりを起こしていると報告している。また、上本(1990c)56)は、中島遺跡で縄文海進前後に、地震に伴う地すべりにより歌川上流部が埋積されており、武蔵野ローム・立川ロームの境界部に多数の亀裂が発達して隙間に白色粘土物質が充填、液状化現象がみられ、亀裂の方向は周囲の地形に一致していると報告している。

上本(1990a)54)は、比々多遺跡に古墳時代中期の古墳に幅1.5m、長さ600m以上の地割れを確認している。また、上本(1992)57)は東海大学内の縄文後期〜晩期の水尻遺跡において、黒土層中の赤色スコリア直上のテフラが低角逆断層で切られていると報告している。

上本・上杉(1996)59)は伊勢原周辺の遺跡発掘調査や露頭において検出した地震の痕跡を20例報告している。このほかに、未公表の多くの遺跡調査が伊勢原断層周辺で実施されている。