(3)大磯丘陵の断層系

大磯丘陵東部の地質構造は、大塚(1930)47)、千葉・森(1983)2)、および関東第四紀研究会(1987)18)により詳細な報告がされている。大塚(1930)47)は、伊勢原台地の南にある高麗山周辺の断層は、足柄層の堆積している平坦面(鷹取山面)と同時期に形成されたものとしている。千葉・森(1983)2)によれば、高麗山周辺の断層のうち南北に延びる根坂間断層は、新期ロームを切る部分もあり、断層の活動時期はOP、TP期であるとしている。また、関東第四紀研究会(1987)18)は、鷹取山と高麗山の間の沈降帯を生沢構造谷地帯と呼んでいる。高麗山地塊と高取山地塊の北西への傾動隆起、生沢構造谷地帯の陥没と北西への傾動・撓曲は対をなす一連の変動で、これを生沢変動と呼んでいる。

国府津−松田断層については、多くの研究者によって調査されており、その断層の性格は第四紀における南北の水平圧縮の応力場で形成されたもので、立川期以降の河岸段丘礫層を切る複数の逆断層群である(上杉ほか,1982)61)とされている。