3−6−3 谷山ボーリングの層序

谷山ボーリング・コアの深度0m〜70.40mは,未固結の堆積物からなり,14C年代及び深度54.49m〜56.60mに桜島薩摩テフラ(Sz−S,1.05万年前;町田・新井,1992)に対比される軽石層が挟在することから,沖積層に対比され,深度70.40mに分布する礫層を沖積層の基底とした。深度70.40m以浅の沖積層は,陸水成層から海成層への変化が2サイクル認められることから,このサイクルに基づき,深度 31.4m以浅の沖積層上部,深度 31.4m以深の沖積層下部に区分される。

深度70.40m以深では,深度73.63m〜88.40mには加久藤火砕流堆積物(Kkt,30万年前;町田・新井,1992)に,深度 201.30m〜265.52m には小林火砕流堆積物(Kb−Ks,40万年前〜50万年前;町田・新井,1992)に,また,深度 201.30m〜265.52mには樋脇火砕流堆積物(Hwk,50万年前〜60万年前;町田・新井,1992)にそれぞれ対比される火砕流堆積物が確認された。

これらのことから,谷山ボーリング・コアの深度70.40m以深の地層は,中部更新統(約76万年前〜約13万年前)であり,最下部の一部はそれより古い堆積物である可能性がある。そのうち,深度70.40m〜135.27m 間の地層はその最上部に加久藤火砕流堆積物を挟在することから中部更新統の上部に,深度 135.27m〜201.30m 間の地層はその最下部に小林火砕流堆積物を挟在することから中部更新統の中部に,深度 201.30m〜265.25m 間の地層は樋脇火砕流堆積物を挟在することから中部更新統の下部に,また,深度265.25m 以深の地層は樋脇火砕流堆積物の下位にあることから中部更新統の最下部あるいは下部更新統(約 165万年前〜約76万年前)の最上部に,それぞれ対比される。