(2)地質概要

長尾町塚原地点では、鴨部川左岸側丘陵北縁部に当たるのぞみ園の切土法面(Na7地点)に三豊層群と花崗岩との逆断層が観察される。本断層面は西側法面ではN70°E・30°Sの走向・傾斜であるが、東側法面ではN70°E・64°Sの走向・傾斜となっている。これは、やや高角度に傾斜する長尾断層が、地表付近で重力によって垂れ下がり、見かけ上緩傾斜になっているためと考えられる。空中写真判読では、本断層に対応するリニアメントは判読されず、リニアメントは本断層から約100m北側を通っている。このため、本断層露頭は長尾断層の最新の断層活動を示すものではない。

一方、長尾町亀鶴の丘陵北縁部では、県指定天然記念物の長尾衝上断層とされる露頭がある。本断層は三豊層群に相当する砂礫層およびシルト層の上に変質した花崗岩類がほぼ水平に近い断層面で載っている。本断層露頭は、鴨部川左岸からのリニアメント延長部の約70m北側に位置し、断層に対応するリニアメントは判読されない。

本断層露頭は、以下の2通りの成因が考えられる。

@長尾断層の断層面が地表付近で重力によって低角化した。

A長尾断層の断層運動によって隆起した南側の花崗岩類が重力によって三豊層群中へ滑動した。

いずれにしても、本露頭は長尾断層の最新の断層活動を示すものではない。

図3−2−2 長尾町塚原地点地形・地質分類図(1/2,500)

図3−2−3 花崗岩と三豊層群礫層との逆断層(Na16:長尾町西) 香川大学教育学部卜部厚志博士撮影

図3−2−4 県指定天然記念物「長尾衝上断層」(Na17:長尾町亀鶴)

三豊層群シルト層・礫層の上に南緩傾斜の断層面で熱水変質した花崗岩が載っている(香川県地質図説明書より)