3−1−6 解析

香南町岡〜天福寺原地点では、M段丘面に比高約7mの高度差、LU面に比高約1mの高度差を持つ低崖が長尾断層による低断層崖の可能性があるものの、反射法地震探査による地表付近の堆積物の変位は不明瞭となっている。これは、当地点では、基盤の花崗岩の上に三豊層群が100m以上厚く堆積しているため、基盤の断層変位が堆積物中で分散してたわみとなっているためと考えられる。従って、本地点はトレンチ調査地点としては不適当である。

電力中央研究所によるボーリング調査によれば、香南町岡において三豊層群の基底に約60mの高度差がある。これは1回当たり、平均1.5mの垂直変位があったとして、約40回分の累積変位を示している。即ち、当地点における長尾断層は第四紀の後半に繰り返し活動して、地震を発生させていると推定される。

特に、第四紀後期の活動をとっても、M面形成後(13万年以降)複数回(7±1回)の活動が想定される。これは、1回の地形面の鉛直方向変位量(上下方向)をLU面の1mと仮定して求めたものである。

当地点における長尾断層の活動履歴は、地形面の変形および電力中央研究所によるトレンチ調査によって、以下のように推定できる。

@最新の活動時期 :鬼界アカホヤ火山灰降灰以前(約6,300年前以前)1.8万年前以降

A1つ前の活動時期:1.8万年前以前

B地形面の変形量 :鉛直高度差1m+α(たわみあり)