5−3 野崎地点の精査結果

野崎地点は金ヶ崎町野崎にあり、永沢川の北側に発達するLU段丘と南側に分布する丘陵地からなる(付図3−1)。丘陵地は鮮新世の油島層からなり、LU段丘は厚さ5m前後の砂礫層からなる。また永沢川沿いには沖積層が分布する.

油島層は下位から順に安山岩質凝灰岩〜凝灰角礫岩(礫岩、砂岩、泥岩を挟む)、デイサイト質凝灰岩、凝灰質礫岩〜砂岩〜泥岩とデイサイト質凝灰岩の互層からなる。最も下位の安山岩質凝灰岩〜凝灰角礫岩は本地域を西から東へ流れる永沢川河岸に露出良く分布する.油島層は北あるいは東傾斜10゜以下で緩く傾いて分布するが、推定断層の西側では断層に近づくにつれて30〜60゜で東落ちの急傾斜を示すようになる。また高角度で西落ちの小断層も認められる。

段丘は高位から順にHU段丘、MV段丘、LT段丘、LU段丘、LV段丘、そしてA段丘が分布する。このうち永沢川北側のLU段丘面には河川方向と斜交する比高約3mの緩斜面が認められる。また永沢川南側のLT段丘面にも推定断層付近を境に高度差が認められる。これらの地形的に推定される断層崖の南延長は丘陵地内へ追跡され、鞍部と丘陵の高度不連続が認められる。断層推定位置付近には礫岩・砂岩・泥岩の互層が分布し、東側では緩傾斜を示すが西側にはいると急傾斜を示す。そして、断層推定位置付近から離れると再び緩傾斜になる。断層露頭は確認できなかったが、B−1 ボーリングでは深度6.0mで上盤側の凝灰岩と下盤側の段丘砂礫が接する断層面が確認された。したがって、永沢川北側のLU段丘面には比高約3mの緩斜面は撓曲崖と解釈される。