(1)3S面の記載

3S面において(3S46.56,D5.26)から(3S35.04,D0.60)にかけて連続する断層が観察される。

E層シルト内では断層は密着しており、断層は数mm幅の変色した線として確認され、部分的に数mm幅内に破砕が確認される。断層の走向傾斜はN35E26Nである。トレンチ底面から上方へ延びる断層はE層内すなわち、(3S45.20,D5.00)付近から(3S44.00,D4.36)にかけてはやや不明瞭ではあるが平行する断層が観察され、(3S43.70,D3.80)付近で2条に分岐する。E層内の変位は腐植層を基準に使うことによって確認され、逆断層センスである。変位量は下部腐植層の頂面で水平105cm,垂直50cm、底面では水平99cm,垂直47cmである。また、上部腐植層の底面で水平106cm,垂直38cmである。

D層内における断層は砂層と礫層が接する部分で明瞭に確認される。しかし、礫層内ではやや不明瞭となるが、礫層内では数条の断層が派生しているのが観察される。(3S39.30,D2.00)付近ではD層の砂層中に噴砂が確認できる。D層内の変位量はD層/E層境界のおよびD層内の砂層を基準として確認され、いずれも逆断層センスである。D層/E層境界で水平78cm,垂直47cmであり、砂層底面で水平113cm,垂直36cm、頂面で水平108cm,垂直32cmである。 

C層内のシルト中における断層は密着し非常に不明瞭である。断層のおおよその走向傾斜はN6E18Nであるが、上部に向かって傾斜を変化させながらC1層と呼ぶ腐植層を切って変位を与えている。C層/D層境界の変位量は逆断層センスで水平48cm,垂直20cmである。C層内の礫層底面では水平53cm,垂直22cm、頂面の変位量は水平10cm,垂直10cmである。また、C1層底面では水平39cm,垂直20cm、頂面では水平22cm,垂直6cmである。

B層内における断層面は、(3S35.20,D0.64)付近で上盤側のC1層と、下盤側のB2層とが断層で接している部分以外は確認できないが、このことから少なくともB2層は断層の変位を受けていることは確実である。B1層より上位の地層は農地改良によって削られ、水田土壌によって覆われるため、変位量は確定できない。