4−3 森本・富樫断層帯調査で残された課題

@森本断層は,約2,000年前に一度活動を行ったことは明らかとなったが,1799年金沢地震や鎌倉時代以降に形成された液状化痕跡と断層活動との関係は明らかになっていない.

A森本断層の主断層は6,000年前に活動を行ったことは明らかとなったが,トレンチ壁面からはその他の時代にも活動をしていると推定されることから,これらの時期の特定が必要である.

B主断層と副次的な断層の活動年代は今のところ一致しておらず,これらの関係を正確に把握する必要がある.

Cトレンチ調査で見出された以外にも断層が複数伏在している可能性があり,これらについて未知である現段階では,森本・富樫断層帯を過小評価している可能性が高いことから,これら全体を把握した上で最終的な評価を行う必要がある.特に,活動間隔や単位変位量などの重要項目については,新たな情報が得られることにより評価は大きく変わる可能性がある.なお,これらの情報は,梅田地区で調査を集中させればある程度解決できるものと考えられる.

D富樫断層については,地層の走向・傾斜や変形状況から存在が推定されるものの,正確な位置,変位量,活動年代,再来間隔などの情報は得られていない.

E森本断層と富樫断層は地形的特徴以外に連続性を直接示すデータは得られていない.

F3ヶ年にわたる調査範囲より南西側の辰口丘陵には,森本・富樫断層帯の走行と平行で直線的なリニアメントが多数見出されていることから,断層帯が手取川扇状地を越えて南西方向に連続している可能性があるとの意見もある.