4−1−3 形状

平成8年度および平成10年度にトレンチ調査で確認された断層位置を根拠とすれば,森本断層の地表での断層線は丘陵と平野の境界に沿って平野側約500mの範囲に複数存在することが確実である.また富樫断層の地表での断層線は,地形・地質調査,物理探査およびトレンチ調査結果によれば,丘陵と平野の境界に沿って平野側約300mの範囲に複数存在する可能性が高いと考えられる.しかし,現状では活断層が動いたことによって形成される変位地形を地表では確認できていない.これは断層による変位が累積するよりも浸食・堆積作用の方が強くはたらいているためと考えられる.

一般に,活断層が動く原因と考えられている地下深部での岩盤のずれと地表の活断層との連続関係は詳細にはわかっていない.しかし本調査で確認した事実および物理探査等から推定される立体的な地下構造から考えると,本地域の活断層は地表付近では単純な1枚の面としてあるのではなく,複雑に分岐した複数の面からなっており,地表での断層線はある幅を持った範囲内に複数存在するものと考えられる.

なお,すでに公表されている1/25,000都市圏活断層図「金沢」に断層線として描かれた線は,地表の地形調査に基づいて断層の存在を示唆する地形の位置を示したものであり,必ずしも断層そのものの位置を厳密に示しているわけではないので,断層の詳細な位置を問題にする際はあらためて確認の作業が必要である.