(2)地質構造

調査地域内で走向・傾斜を測定できる露頭は少なく,特に凝灰岩の分布する地域では走向傾斜に一定の方向性は見いだせなかった.

北部の曽谷大谷川に沿う地域の走向傾斜は,卯辰山層下部の砂層(N40°E,67°W),大桑層上部のシルト層(N38°E,53°W),大桑層下部の砂層(N50°E,38°W),安山岩と凝灰岩の境界部(N78°E,55°W),凝灰岩中のラミナ(N58°E,75°W),および凝灰岩の風化層(N65°E,25°W)であった.これらの測定結果では,この付近の地層の走向は概ねNE−SW〜ENE−WSWで,西に向かって25°〜75°の傾斜となっている.平成9年度に北接する四十万地区で行った地表地質踏査では,大桑層の走向は概ねNNE−SSWで,傾斜は50〜60°Wであったことから,走向はやや西に屈曲し,傾斜はかなり緩くなってきていると言える.

中部では,林道坂尻町線のヘアピンカーブに露出した凝灰岩に挟まれる軽石層の走向傾斜がN35°W,25°W,林道坂尻町南線沿いの露頭でN36°E,74°W,竹谷川左岸で70°W,24°Eとなっており,一定しない.また,林道荒屋線入り口付近の切土地に見られる露頭では,凝灰岩を覆う円礫層が西側に傾斜しているように見えるが,上部に向かうほど急速に傾斜が緩くなるように見えることから,崖錐堆積物であると判断される.

南部では凝灰岩層が大半を占め,走向傾斜が測定できる露頭は見いだせなかった.