(2)ボーリング資料による記載

坂尻地区周辺での既存ボーリング資料は少ないが,坂尻地区で2資料,その南部の小柳地区,月橋地区で各1資料が得られた(図3−7−4−1図3−7−4−2,位置は図3−7−1参照).

坂尻町地区では,表層付近の表土,シルト層,砂層は1m〜2m程度と極めて薄く,それより下位は厚い砂礫層となっている.平成9年度に四十万地区で行ったボーリング調査の結果では,表層部数mの範囲には軟弱なシルト層,砂礫層が分布し,それより下位には40m以上の厚い砂礫層が見られたが,地形的には坂尻町地区も同様の地質構造を持っていると推定されることから,薄い軟弱層より下位の砂礫層はかなり厚いものと推定される.このボーリングは地形境界に隣接した位置で行われていることから,この付近まで手取扇状地礫層が厚く堆積しているものと考えられる.

小柳地区では,地表面から2mぐらいの深さまでは砂礫や粘土層などからなっているが,それより下位は厚い玉石混じり砂礫となっており,手取扇状地の砂礫層が分布しているものと考えられる.

月橋地区では,薄い表土の下に約7mの厚みで玉石混じり砂礫層が分布するものの,それより下位には風化凝灰岩がみられる.このボーリングは地形境界より300m程度扇状地側の位置で掘削されたものであるにもかかわらず,かなり浅い位置に医王山累層と考えられる凝灰岩層が出ていることから,この付近では扇状地礫層より下位の基盤層は浅い位置にあるものと考えられる.

図3−7−4−1 既存ボーリング資料の柱状図(坂尻地区)

図3−7−4−2 既存ボーリング資料の柱状図(小柳地区・月橋地区)