3−6 四十万地区の調査結果

平成9年度に行った詳細調査では,地形調査や地表地質踏査(精査),極浅層部反射法弾性波探査の結果から,丘陵と平野の地形境界やそれよりも平野側200m程度の範囲に断層が伏在していると推定された.最新の活動をとらえるために,地形境界よりも前縁の緩傾斜地で実施したボーリング調査やトレンチ調査では,断層の存在が確認できず,地形境界から平野側150m程度の区間では地表面に近い地層に大きな落差は存在しないことが明らかとなった.しかし,ボーリング調査やトレンチ調査ではごく表層部の限られた範囲の情報しか得られていないことや,地形境界そのものについての調査は未だ行っていないことから,断層の性状についての結論を出すには慎重にならざるを得ず,これを解消するためには近接する地点で調査を継続することが望ましい.

四十万地区の調査候補地としては,平成9年度に詳細調査を実施した金沢大学教育学部付属実験農園のほか,約600m南側にある東部環状道路建設用地が挙げられる.平成8年度の地形判読調査の結果や国土地理院発行の「都市圏活断層図 金沢図幅」からは,富樫断層がこの用地内で低地と段丘面の地形境界を形成している可能性が高いと判断されることから,工事着手以前に詳細調査を実施する必要があると考えられる.

地形面が異なることから対比可能な地層が見出せる可能性は小さく,トレンチを掘削しても最新の活動年代の把握は困難であると予想されるが,主断層の変位量,変位の累積等は確認できる可能性があることから,詳細調査を実施することとした.