3−2 継続調査の課題

平成9年度までの2ヶ年にわたる調査の結果,森本・富樫断層帯について様々な事項が明らかになった.しかし,断層の性状が完全に解明できるほどの情報は得られていないことも事実である.また,新たに疑問点が生じてきたところもある.以下に,残されている課題をとりまとめた.

@森本断層は,約2000年前に一度活動を行ったことは明らかとなったが,1799年金沢地震や鎌倉時代以降に形成された液状化痕跡と断層活動との関係は明らかになっていない.

Aトレンチにより発見された副次的な断層の性状から,森本断層の主断層は丘陵と平野の地形境界より平野側に伏在していることが推定されるが,正確な位置・変位量・活動年代・再来間隔は把握されていない.

B森本断層北部にあたる平野上に撓曲崖状の地形が認められることから,これらの現地確認を行い,状況に応じて詳細な調査を行う必要がある.

C富樫断層については,地層の走向・傾斜から存在が推定されるものの,正確な位置,変位量,活動年代,再来間隔などの情報はほとんど得られていない.

D森本断層と富樫断層の連続性を示すデータは得られていない.

E発生しうる地震規模を求める上で,森本断層の北限,富樫断層の南限に関する情報量を増やしていく必要がある.