(3)堅田地区

堅田B遺跡の発掘調査では鎌倉時代(13世紀)の遺構を切る噴砂が発見された。この噴砂は鎌倉時代以降の地震による液状化の痕跡であることから、約2000年前の森本断層の活動とは別に、それ以降に断層近傍で少なくとも1回は大きな地震が発生したと判断される。歴史地震でこれに該当する可能性のあるものは次のとおりである。1799年の金沢地震では河北潟や金沢城下の多くの地点で液状化が発生したことが記録に残されていることから、堅田地区の液状化痕跡もこれに対比される可能性が大きい。その他に金沢周辺に大きな揺れをもたらした地震としては、白山大地震(1586年,M7.8±0.1)、飛越地震(1858年,M7.0−7.1,小松・寺井で液状化の記録あり)、濃尾地震(1891年,M8.0,高松・内灘・金沢・寺井・小松・加賀で液状化の記録あり)、福井地震(1948年,M7.1,片山津で液状化の記録あり)が挙げられる。現時点の情報ではこれらの地震のいずれかによって液状化が発生した可能性も否定しきれない。

以上の結果、地質学的事実からは森本断層が約2000年前に活動をしたことは確実であり、その後少なくとももう一度は断層近傍で大きな地震が発生したことが推定される。