(1)極浅層部反射法弾性波探査(小坂測線)の概要

@目 的

小坂地区では、丘陵と低地の地形境界付近に断層の存在が推定されている。また、1799年金沢地震当時に記録された「政隣記」に「大樋町端より一町計之所に而地震に合ひ、倒れ候處暫起上り不得。田毎之水東西に五・七尺計程宛傾く内に、田水板の如く成て空に三・四尺計上り、並松五・六尺震れ候を見受け候旨。」という記載がみられ、この地区で地形の変状や液状化が発生したことが推定される。古文書に記載されている「大樋町端より一町計之所」にあたると考えられる金沢市小坂町では、河川による浸食とは考えにくい地形的な段差(撓曲崖状の地形)が認められる。この段差は最大1.5m程度で、北北東−南南西方向に連続する傾向が見られる。

これらの情報は、平成8年度調査において金沢市疋田−神谷内間で実施した反射法弾性波探査の結果とも調和的であり、森本断層が伏在している可能性が高いと考えられる。このことから、表層部50m程度の地質構造を詳細に明らかにする目的で極浅層部反射法弾性波探査を行った。

A探査位置および測線長

金沢市小坂地内の市道・測線長250m(図3−3−1図3−3−2

B探査実施期間および測定時間

平成10年1月9日〜12日,夜間作業(午後9時〜午前6時)

C探査対象深度

深度50m程度まで