(2)補足トレンチの結果

補足トレンチでは、T8−2トレンチの観察結果と対比可能な撓曲構造およびSi−6やNH等の地層が確認された。トレンチ壁面に現れた地層の状況から、以下の事項が確認された。

@Si−6より下位の地層には撓曲構造が認められる。これから読みとれる垂直変位量は40〜50cmで、走向はN26〜30゜Eである。

A弥生時代の腐植土層(HS−1・HS−2)の分布は確認できなかったが、古代の地層(NH) より上位の地層に変位は認められなかった。あぜ道部分の直下に15cm前後の地層の撓みが認められるが、これはあぜ道設置に伴う沈下と考えられる。

B弥生時代の水路遺構(Ya)には変形が認められず、T8−2トレンチの壁面に現れたのと同様、撓曲の下盤側(山側)に位置している。また、水路底の標高は5.99mとなっており、平成8年度に確認された水路遺構と調和的に北側へ緩い傾斜を示す。このことから、水路は断層活動によって生じた撓曲崖の下側に沿って構築された可能性が高いと判断される。  

補足トレンチの観察結果や平成8年度調査の結果から、断層変位は1,950±70Y.B.P.から1730±60Y.B.P.の間(約2,000年前)に生じた可能性が高いと結論付けられる。

図3−1−1 梅田地区補足トレンチ位置図

図3−1−2 梅田地区補足トレンチのり面スケッチ図(W面)