2−3−1 古文書解析調査の概要

1)目的

寛政11年(1799年)に発生した地震により、金沢を中心に大きな被害が生じたことが当時の日記等に記録されている。被害記録のうちいくつかのものは詳細な記載がなされ、町名・家主名まで復元可能な場合も見受けられる。これらの一部は寒川(1986)等にまとめられているが、金沢の地域性を考えると旧城下町と現在の町割りには大きな変化がないことから、記録を丹念に解読すればさらに高精度で当時の被害状況が復元できるものと期待される。このことから、古記録を解読することにより1799年金沢地震の被害状況の詳細な把握を行い、被害状況の分布から被害の特性・地震の特徴を明らかにすることを試みた。

2)内容

1799年金沢地震による被害状況を明らかにする目的で、40点余りの古文書(表2−3−1−1,巻末資料3)に記載された地震の被害状況を解読した。また、古地図(表2−3−1−2)と現在の地形図との対比により、地震発生当時の被害状況を現在の地名にあてはめて把握した。

表2−3−1−1 収集・解読した古文書

表2−3−1−2 参考とした古地図