3−3−1 火山灰分析

火山灰は,一般に広域に分布してほぼ同時に堆積するため,降灰年代が判明している火山灰との対比を行うことにより,地質時代における時間面をほぼ特定することができる。通常,ボーリングコアやトレンチ法面において,肉眼観察で検出された火山灰層で分析を行うが,本調査地点のトレンチ法面などからは有効な火山灰は検出できなかったので,以下の手順で,約10cm間隔で採取した連続試料による洗い出し分析を行った。

@ 前処理・粒子組成分析

試料を120〜250メッシュ(1/8〜1/16mm)に粒度調整するために,流水中で洗浄およびふるいわけを行う。ふるい分けした極細砂粒子を屈折率1.545の光硬化樹脂で封入し,プレパラートを作成する。作成したプレパラートを顕微鏡で観察し,約10,000粒子の組成を把握し,火山ガラスの形態分類を行う。

A 火山ガラス・鉱物の屈折率測定

テフラ起源と推測される火山ガラス,斜方輝石,角閃石は,温度変化型屈折率測定装置(MAIOT)を用い,屈折率を測定する。1試料あたり30個の火山ガラスおよび鉱物それぞれを測定するが,含有量の少ない試料では,それ以下になる場合もある。

温度変化型屈折率測定法は,火山ガラスと浸液の屈折率が合致した温度を測定することにより,各浸液ごとに決められた浸液温度と屈折率の換算式から,火山ガラスの屈折率を計算して求める方法である。