2−3−2 諏訪山断層

諏訪山断層は,神戸市街地と六甲山地とを境する北東−南西方向に延びる断層であり,地形的には直線的な断層崖が明瞭である。この断層崖を横切って流れる河谷は,山麓部で右横ずれの屈曲を示す。従来から,地形的に断層の存在は推定されていたが,図2−5に示されるように,山陽新幹線建設時の工事によりその存在が確認され,この断層は沖積層を変位させていることが明らかにされている(藤田・笠間,1983)。このように,諏訪山断層は右横ずれで北側隆起の逆断層成分を伴い,完新世にも繰り返し活動したことが解明されている。

しかし,諏訪山断層の最新活動時期や活動履歴などは,須磨断層と同様に不明確であり,断層の基本的性状を把握するため,図2−3−2に示す大土平地点において調査を計画実施した。

なお,この地点は諏訪山断層の東端部付近に位置し,東側に分布する五助橋断層や岡本断層帯などに漸移する部分にあたる。

図2−5 新神戸駅付近の地質断面図(日本国有鉄道大阪新幹線工事局編,1972)