4−3 古々山断層

第2章4節でも述べたとおり,図2−4−8に示した花山台北地点では傾斜変換点が見られ,その南西側には谷の右方向への鍵型屈曲が認められることから断層はほぼ確実に確認できると推定し,トレンチおよびボーリング調査を計画した。しかし,地権者の了承を得ることができなかったため花山台北地点での調査を断念し,図4−21−1図4−21−2に示す谷上地点(神戸市北区山田町上谷上字登り尾9番:兵庫県立光風病院敷地内)において調査を実施した。

平成13年度実施の空中写真判読や地表地質踏査などの結果より断層が通過すると考えられる位置において,トレンチ調査を実施した。図4−22−1にトレンチ壁面観察結果を,図4−22−2にその写真を示す。図4−23は,トレンチ東側法面とボーリング柱状図をあわせた断面図である。トレンチ調査の結果,本地点では扇状地性の砂礫層が厚く堆積することが明らかとなり,その扇状地性堆積物には断層による変位は認められず,断層の位置も推定できない。また,堆積物の年代決定に有効な火山灰層や腐植質層も認められなかった。

さらに,より深部における断層の位置などの情報を得ることを目的に,トレンチの南西端でボーリング調査(FF ? 1孔)を実施した。その詳細観察記録(50分の1縮尺)とコア写真は巻末にまとめて示すが,その結果,表層より深度10.26mまで扇状地性の砂礫で構成され,それ以深は基盤岩の有馬層群に属する流紋岩からなることが明らかとなった。これより,断層の南側に分布する神戸層群との地質境界は,トレンチ地点のさらに南側に存在することになる。

上記のトレンチ調査およびボーリング調査の結果,本地点では扇状地性の砂礫層が厚く分布するため,断層の位置を特定することができず,断層の最新活動時期など基本的情報を得ることはできなかった。