(2)プレフィルタ,位相補償および振幅回復

ウェーブレット(ひとつの反射面を示すと考えられる波形)の時間的な圧縮および短い周期の多重反射波の除去を目的としたデコンボリューションを次のステップで適用するため,前処理として,プレフィルタ(バンドパスフィルタ),位相補償,振幅回復を行う。

広帯域のバンドパスフィルタのプレフィルタを適用し,信号帯域外のノイズを低減する。次に,探鉱機や受震器の周波数特性などに起因する位相ズレを補償し,次ステップにて適用するデコンボリューション処理のため,ウェーブレットを最小位相に変換するフィルタを設計し,適用する。

さらに,震源から地震波が伝播し,波面が広がるに伴い波形の振幅が減衰する幾何減衰などを補償するため,振幅回復を行う。振幅回復は,オフセット距離(発震点と受震点との間の距離)と振幅の時間変化を変数とする減衰カーブを統計的に算出し,減衰カーブの逆数を入力トレースに乗ずることにより行う。また,時間の指数関数で表されるゲイン関数を入力トレースに乗じる方法も適宜併用する。