(1)受震機材(受震器,アンプボックス,ケーブル等)の設置

1m間隔で設定した測点に,地震計3個を直列接続した(グルーピングした)受震器を設置する。地震計3個からなる受震器はひとつのアナログ信号を出力する。グルーピングの一般的な目的は,@反射波の観測において大きなノイズである表面波(地表面近傍を水平方向に伝播する波)が減衰すること,A受震器の感度を増すこと,B測点間隔が粗いために生じる波数領域のエイリアス(波数が正しく定まらないこと)を防ぐことなどである。

3個の地震計は,測線沿いに一様なサンプリングとなるように測点を中心に測線方向に前後約0.3mずつ離すと共に,振動方向が水平面内であるS波(SH波)を測定対象とするため,地震計の主感度方向が水平面内で,かつ測線方向に直交するように設置する。なお,この地震計の主感度方向は,震源の発震方向と一致する。

地震計の地面への具体的な固定は,図3−3に示すように道路上に設置した油粘土に地震計のスパイクを横から水平に突き刺す方法を用いた。

図3−3 受震器の設置方法

探鉱機としてテレメトリ型のものを使用する。これは,増幅,A/D変換,スタック(垂直重合),コリレーション等を,受震器の近傍に設置したアンプボックス(RSU;リモートステーションユニット)で処理し,これら処理後のデータを収録(保存)のために観測本部内の探鉱機に伝送する遠隔処理収録システムである。受震点から観測本部内の探鉱機まで導くケーブル本数が少なく,多くの受震点のデータを同時に収録することが可能となっている。

使用するアンプボックス(RSU)は,4チャンネル(4受震点)分のデータ処理機能を有する。このため,4受震点(4m)毎にアンプボックスを設置し,アンプボックス間を1本のケーブル(DTC;デジタルテレメトリケーブル)で順次接続する。また,ケーブル接続したアンプボックス群の任意の位置で分岐させ,受震データのモニタおよび収録(保存)などのために観測本部内の探鉱機へケーブルを導く。受震器,アンプボックス(RSU),ケーブル(DTC)および観測本部内の探鉱機などの接続状況を図3−4に示す。なお,標準同時収録チャンネル数を101チャンネルとしたため,発震時には,発震点近傍100m以上の区間の受震器を接続し,データを収録する。

図3−4 受震機材の接続方法