(4)測定

@受振機材(受振器、アンプボックス、ケーブル等)の設置

5m間隔で設定した測点を使用し、10m間隔で地震計6個を直列接続した(グルーピングした)受振器を設置する。地震計6個からなる受振器はひとつのアナログ信号を出力する。グルーピングの一般的な目的は、@反射波の観測において大きなノイズである表面波(地表面近傍を水平方向に伝播する波)を減衰すること、A受振器の感度を増すこと、B測点間隔が粗いために生じる波数領域のエイリアス(波数が正しく定まらないこと)を防ぐこと−等である。

6個の地震計は、測線沿いに一様なサンプリングとなるように、基本的に測点を中心に測線方向に前後約1.7mずつ離すと共に、振動方向が鉛直面内であるP波を測定対象とするため、地震計の主感度方向が鉛直となるように設置する。なお、この地震計の主感度方向は、振源の発振方向とも一致する。

地震計の地面への具体的な固定は図3−1−3に示すように、植栽部等においては地震計下部に付属しているスパイクを利用して直接地面に突き刺す方法を、アスファルト舗装部においてはピックスタンドと呼称する専用の金属スタンドに地震計を取り付ける方法を用いた。

探鉱機としてテレメトリ型のものを使用する。これは、増幅、A/D変換、スタック(垂直重合)、相互相関処理等を、受振器の近傍に設置したアンプボックス(RSU;リモートステーションユニット)で処理し、これら処理後のデータを収録(保存)のために観測本部内の探鉱機に伝送する遠隔処理収録システムである。受振点から観測本部内の探鉱機まで導くケーブル本数が少なく、多くの受振点のデータを同時に収録することが可能となっている。

使用するアンプボックス(RSU)は、4チャンネル(4受振点)分のデータ処理機能を有する。このため、4受振点(40m)毎にアンプボックスを設置し、アンプボックス間を1本のケーブル(DTC;デジタルテレメトリケーブル)で順次接続する。また、ケーブル接続したアンプボックス群の任意の位置で分岐させ、受振データのモニタおよび収録(保存)等のために観測本部内の探鉱機へケーブルを導く。受振器、アンプボックス(RSU)、ケーブル(DTC)および観測本部内の探鉱機等の接続状況を図3−1−4に示す。なお、標準同時収録チャンネル数を100チャンネルとしたため、発振時には、発振点近傍1km以上の区間の受振器を接続し、データを収録する。

A発振テスト

本測定に先立ち、発振テストを行う。これにより収録記録長、標準垂直重合数(スタック回数;SN比向上のための同一地点における発振回数)等を決定する。

B本測定

所定の発振点に振源を配置した後、上記発振テストで決定した標準垂直重合数(スタック回数)分、発振を行うと共に、1発振点に対して、発振点近傍の約1km区間の受振点で観測する。観測された波形記録を、受振点近傍のアンプユニット(RSU)でA/D変換(アナログ信号からデジタル信号への変換)およびスタック処理を行い、その後、観測車内の探鉱機に転送する。観測車内では、モニタで記録の品質を確認すると共に、磁気テープ(8mmテープ)および収録装置のハードディスクに記録を保存する。なお、記録の品質が良くない場合には、直ちに再測定を行う。

上記作業を、発振点を5mずつ移動させながら繰り返し、順次記録を収録する。なお、1発振点に対し、データを収録する受振点の配置、すなわち展開方法は、各測線の測線長が1kmから約1.5kmであることから、受振点を固定とする固定展開法を基本とした。なお、測線長が約1.5kmであるC測線においては、発振点が受振区間内に位置するように、発振点の移動に伴い適宜受振区間も移動させた。