5−3 山崎断層を対象とした観測体制の整備

活断層調査で明らかにできる過去の地震規模は,M7級の大地震に限られる。しかし,中規模地震(M5〜6)でも震源近傍では被害が発生することは,姫路で震度Wを記録した1984年の山崎断層地震 (M=5.6) の例が示すとおりである。したがって,地震防災を考えるにあたっては,通常の活断層調査では評価しきれない中規模地震を含めた対策が必要である。

これに関して,1970年代後半から10年間にわたり山崎断層を対象として実施されてきた“地震予知テストフィールド” 観測では,1984年の山崎断層地震の際に,本震に先立つ予兆的な現象がつかまえられた実績がある。今後近い将来に,山崎断層が活動する可能性があることも視野に入れ,山崎断層の活動を監視する観測体制を整えていくことが望まれる。