2−4 山崎断層に関する課題

山崎断層系については,大原断層から安富断層にいたる山崎断層系主部の最新活動時期は,ほぼ明らかになったといえる。これに対し,山崎断層系南東部 (琵琶甲断層や三木断層, その他リニアメント)に関しては,活動的な断層は断続的にしか知られておらず,また活動履歴についても,播磨地震の際,山崎断層と同時に活動したのかどうか不明である。また, 土万断層から安富断層へ乗り移る所から南東に分岐する暮坂峠断層については,直線的な断層谷が見られるにもかかわらず,新しい活動を示す明確な証拠は見つかっていない。しかし,1984年の山崎地震では,余震がこの断層に沿って多発していることから, 暮坂峠断層の活動性が注目される。

山崎断層主部の活動間隔については,数千年程度と推定されているものの,現時点では曖昧さが残されており,これについてもさらに詳しい調査が望まれる。

活動履歴が明らかにされていない南東部の断層系のうち,現時点では琵琶甲断層のみが活断層であることが確認されている(大阪層群上部亜層群の相当する明美累層を変位させている)。この断層に沿って,更に新しい段丘層や沖積層を変位させている証拠は見つかっていないが,断層の活動が横ずれ成分が主体とみられるため,地形的に確認するのが困難であり,変位していてもこれまで見つけられなかった可能性がある。同じことは,三木断層(確実度U)やその他のリニアメントについてもいえる。そのため,これらの断層・リニアメントの活動性や,活動履歴を明らかにすることが必要と考えられる。

一方,“活断層の存在が予想される明石〜姫路にいたる北西−南東方向の海岸線”は,山崎断層本体とはかなり離れているものの,将来的には,断層の位置や規模・活動性などを明らかにしておくことは必要とみられる。

なお,山崎断層系の地形・地質については,局所的にはある程度の詳しい記載はあるものの,山崎断層系全体としての断層図は“新編日本の活断層”に掲載されている程度であり,山崎断層系全体について詳しい地形・地質調査を実施し,精度の高い断層図(ストリップマップ)を作成することも必要である。