(4)地質解釈

S波反射法探査の地質構造解釈結果を図3−3−65−1図3−3−65−2図3−3−66−1図3−3−66−2に示す。なお、各図に記入した数字は速度解析による推定S波速度(単位:m/sec)である。また、図3−3−66−1図3−3−66−2には探査測線上において実施したボーリング調査結果をあわせて示している。

以下に、探査測線の地質解釈をまとめる。

CMP No.130付近を境にして、北半分(図面の左半分)と南半分(同右半分)で地質構造が異なる。反射断面図中の反射面は、右半分ではやや連続性が悪いものの、左半分では全般に1枚ごとの連続性がかなりよく、その間隔は4〜7mと広い。これらの反射面は、既存の調査結果資料からみて上部洪積層ならびに大阪層群などであると考えられる。したがって、これらの明瞭な反射面は地形分類図や、後述するボーリング調査結果などから、伊丹台地を形成する伊丹礫層と考えられる。このことは、図中のS波速度(ほぼ300m/sec)とも調和的である。

反射断面図中のCMP No.75〜140間には、反射面の不連続な点が数カ所認められる。これによると、CMP No.140付近を北限として幅約30mの間に、断層面が数枚存在する断層帯を形成していると解釈される。もっとも地表面近くまで延びている断層面は、北端のCMP No.130付近のもので、この断層面を境として、北側では、伊丹礫層の反射面は地表面下約2m付近に認められ、ほぼ水平である。一方、南側では地表面下約5m付近と深くなる。また反射面は、全体としてはほぼ水平であるものの、かなりの凹凸を伴っている。断層近傍では、伊丹礫層の変位量は約5mに及んでいる。この断層位置は、空中写真判読結果や既存資料の断層位置とほぼ一致していることから、この断層は既存資料の昆陽池陥没帯北縁構造であるといえる。また断層帯中の断層は、みかけ上正断層であったり、上部に向かって開くflower structureを呈しており、横ずれ断層にみられるような特徴も有している。

S波反射法探査結果から後述のトレンチ調査結果をみると、トレンチ調査実施地点は、CMP No.130以南(昆陽池断層帯北縁構造の南側直近)と考えられる。トレンチ壁面に現れた撓曲は、CMP No.75〜140間の断層帯中の構造の一部と思われる。したがって、CMP No.130付近の伊丹礫層を5m変位させている断層は、トレンチ位置よりさらに北側に存在すると思われる。