4−4 麓郷断層の最新活動期と活動間隔

麓郷断層の最新活動期は,東大樹木園地点において,トレンチ調査から約3750年前以降,約2400年前以前が得られ,ピット調査から約4550年前以降,約2700年前以前を得た.これらをまとめると,約3750年前以降,約2700年前である可能性が高く,最大の幅でみると約4550年前以降,約2400年前以前の範囲にあることは確実である.

最新活動に先行する活動は,今回の調査からは明らかにすることができなかった.

活断層の性質には

   Rd=D/S

     Rd:変位量による活動間隔,D:変位量,S:平均変位速度

これに,経験式(1)式,(2)式を組み合わせると,

   Rl=79.4×L/S

       RL:長さによる活動間隔,L:長さ,S:平均変位速度

の関係がしられている.

現地調査において,活動間隔を明らかにすることができなかったので,上述の式で算出を試みる.

代入値は,D=3m(東大樹木園地点),L=29km(全体),S=0.2m/1000年(東鳥沼地点)である.

ただし,東鳥沼の変位量は3mの整数倍ではないため,活動回数を2回の場合と3回の場合にわけて考えておく必要がある.この場合,活動間隔は1万3千年より長く,2万年より短いといえ,上述の式から,その平均活動間隔Rdは,15,000年となる.

長さから推定される活動間隔Rlは,11,500年となり,ともに1万年以上の活動間隔であることが示唆された.