3−3−2 調査方法

ピット調査は図3−3−1に示すフローに沿って実施した.調査用地の設定は関係者で協議し,地権者の了解を得た上で掘削用地および掘削土砂置場などの作業用地を確保した.

ピットの掘削以前に調査用地の平板測量による平面図(等高線間隔0.5m)を作成して地形状況を把握すると共に,用地復旧の際の基礎資料とするため着工以前の地物の状況を写真撮影した.

ピットは設定された掘削用地内において,重機を用いて原則として所定の規模・深さ(長さ3.5m×幅3.0m×深さ2.0m,法面傾斜原則75°)で掘削した.最初に耕作土や表土だけを薄く剥ぎ取り,下位の地層・土層と混じり合わないようにし,ビニールシートで覆い別々に保管した.

掘削後,ピットは単管パイプ・トラロープで周囲を囲い,近隣住民や見学者等の落下を防ぐよう配慮した.掘削した法面は出入り口として使用する法面を除いて,詳細な地層観察ができるように人力でネジリ鎌等を用いて余分な土砂を除去し平滑に整形した.整形したピット法面には観察およびスケッチの座標として,以下の手順で1mメッシュのグリッドを設けた.

法面の上端付近に杭と板を用いて柵を設置

→柵の板上に基準となる水平線の設定(レベル使用)

→基準水平線上に距離1m毎に釘を打つ

→釘に水糸を結んで基準水平線に直交させて下ろし法面基部の杭(1m毎)に結ぶ

→水糸に直交するように高さ1m毎に横糸を張る(5m毎の水糸は異なった色にする)

法面の観察・スケッチ・写真撮影は全ての法面を対象に縮尺1/20で表現できる精度で行った.単層毎に地層を区分し,単層毎の性状(層相・地層境界の形状・変形構造・断層等)・単層間の累重関係(不整合等)・層準による変形の違いを記載し,調査地の地史及び断層活動の有無等を総合的に判断するための基礎資料を得た.

ピット埋め戻しは,主要な掘削土砂を転圧して十分に突き固めた後,表土・耕作土を埋め戻し,着工以前の写真を参考に用地復旧を行った.埋め戻し終了後は関係者で確認し,地権者に調査終了の報告をし確認を得た.

図3−3−2にピット調査の仮設模式図を,図3−3−3にグリッド設置状況の模式図を,表3−3−1にピット調査の使用資機材の一覧を示す.

図3−3−1 ピット調査フロー

図3−3−2 ピット調査の仮設模式図

図3−3−3 グリッド設置状況の模式図

表3−3−1 ピット調査の使用資機材一覧