(2) 北川北地区

空中写真判読の結果,次の諸点が明らかになった.

@4面の段丘面(高位面:T1,中位面1:T2−1,低位面1:T3−1,最低位面:T4)が認められる.

A各段丘面は形状から,扇状地性の堆積面と認定できる.

B活断層の可能性が指摘された北西−南東方向に延びる地形変換部(リニアメント)は段丘面境界(段差部)の可能性がある.

空中写真判読結果を考慮に入れ,現地で地形地質精査を行った.その結果を精査図として付図2−2にまとめ,その縮図版を図3−1−7として本文中に示した.本地区内の露頭柱状図集を図3−1−8に,地形状況と露頭の写真集を図3−1−9にまとめた.

調査結果の要点は以下のとおりである.

@本地区の地質(層序)は下位より,高位面堆積物(T1d),中位面堆積物(T2d),低位面1堆積物(T3−1d),最低位面堆積物(T4d),現河川氾濫原堆積物(Ad),新期の火山灰・ローム・腐植層である(図3−1−8).

A地形面区分的には,従来,砂利採取場周辺の地形面については中位面1と一括し,そのために南東側より武佐岳方面に向かい,撓み上がる部分が“開陽断層北部東側地形変位部”として活断層の現れでないかと考えられた.空中写真判読でも示したように,本来の中位面1はウラップ川沿いに帯状に狭まり,南東側に広がった一つの扇状地面となっており,撓み上がった部分とは明らかに区別できる.撓み上がった部分は山地際に北方へ帯状に追跡でき,忠類川北方の高位面(T1)に対比できる