4−2−7 途別川断層

途別川断層については,リニアメントを横断して分布する変位基準たる地形面が存在しないため、厳密には平均変位速度を見積もることはできない。ただし、断層の東側では上更別面〜幕別面相当の高位〜中位面群が多段化しており、地形面の分化が断層活動によるものであるとすれば、オーダー程度で推定が可能である。これらの面の年代を海成段丘アトラスに従い150〜340kaとすれば、これらの面の変位量のTotalが30m程度なので平均変位速度は0.09〜0.2m/kaとなり、概ねB級下位の活動度を持つことになる。芽登凝灰岩は途別川断層の西方では標高0m〜10m程度、東側では幕別丘陵西端で急速に高度を上げ幕別丘陵は下位の池田層から構成される。これらから芽登凝灰岩の垂直変位量は、少なくとも150mに及ぶと考えられるので、これから平均変位速度を見積もると0.15m/kaという値が得られる。この値は、中〜高位面群から推定される値と調和的である。