(2)上野塚地区

(1)地層記載

B8−1孔

B8−1孔では地表から深度0.26mまでが耕作土となっており,深度0.26〜0.95mまでは黒色の強腐植土となっている。深度0.95〜1.20mの間はローム質シルトとなっており下部には礫が点在する。

深度1.20m以下は砂礫層となっているが,深度1.20〜1.80mの間は最大礫径が35mm以下の淘汰の悪い砂礫層で,基質はシルト優勢である。深度1.80〜3.00mの間も礫径40mm以下の砂礫層となっているが,この部分は基質が比較的砂質である。この間の砂礫層には花崗岩類の礫が含まれない特徴があり,特に上部は支流性の堆積物である可能性が考えられる。深度2.50m付近にはやや淘汰のよい砂層が挟まれる。

深度3.00〜15.00mは砂礫層となっている。砂礫層は円〜角礫で構成され,礫種は花崗岩類,砂岩,泥岩などを主体とする。最大礫径は140mmを超し,基質は砂優勢部分とシルト優勢な部分が数10cm〜2m程度の単位で繰り返すが有意な区分を行うには至らない。

B8−2孔

B8−2孔では地表から深度0.31mまでが耕作土で,深度0.31〜0.98mまでが黒色の腐植土となっている。腐植土の下部はやや腐植の程度が弱く礫混じりである。深度0.98〜1.10mはローム質シルトが見られこの下位1.10〜1.75mには淘汰の悪い礫混じりシルトが見られる。この中に含まれる礫は最大でも20mm程度で泥岩・砂岩が主体となっている。1.58〜1.75mから採取された腐植から1840±40yBPの14C年代が得られた。しかし試料状態が悪いこと、平成14年度調査による礫層上位の腐植層の年代と比べ有意に新しいことから、上位層からのコンタミである可能性が否定できない。

深度1.75〜15.00mは砂礫層となっている。この砂礫層は円〜角礫で構成され,礫種は花崗岩類,砂岩,泥岩を主体としている。基質は1.75〜9.00mの間では砂優勢であり,下部は9.00〜14.10mの間がシルト優勢である。最大礫径は上部で120mmを超し,下部では90mm程度である。最下部の14.10〜15.00mには比較的淘汰の良い礫混じり砂層が見られる。

この孔の深度11.75〜11.85mには上位にやや固結した砂質シルトと砂礫が接する比較的明瞭で直線的な構造が観察された。この直線構造の傾斜は40°で断層面の可能性も否定できないが,ボーリング調査のみからは成因を絞り込むことは困難である。

B8−3孔

B8−3孔では地表から深度0.33mまでが耕作土で,深度0.33〜0.65mには砂質ローム層が見られる。深度0.65〜15.00mはすべて砂礫層となっており,円〜亜角礫によって構成される。礫種は花崗岩類,砂岩,泥岩を主体としており,基質は全体にシルト優勢であるが深度2.25〜2.72m,8.45〜9.00m,13.45〜14.00mに砂優勢部分が見られる。最大礫径は120mm以上である。3.65〜3.75mから採取された腐植から3460±40yBPの14C年代が得られた。しかし試料状態が悪いこと、平成14年度調査による礫層上位の腐植層の年代と比べ有意に新しいことから、上位層からのコンタミである可能性が否定できない。

B8−4孔

B8−4孔では地表から深度0.30mまでが耕作土で,深度0.30〜0.61mまでは黄灰色ロームとなっている。深度0.61〜15.00mはすべて砂礫層となっている。砂礫層は円〜亜角礫で構成され,礫種は花崗岩類,砂岩,泥岩が主体となっている。基質は深度0.61〜7.78mまでは砂優勢で深度2.47〜2.72mには比較的淘汰の良い細粒〜中粒砂層が見られる。これより下位では基質はシルト優勢となっている。

(2)対比および解析

上野塚地区で確認された地層は耕作土・黒色腐植層ローム質シルト層・細粒砂礫層・ローム層・砂礫層に区分される。このうち腐植層,ローム質シルト層,細粒砂礫層はB8−2,4孔に分布し,ローム層はB8−3,4孔に分布する。各孔の下部に見られる砂礫層は段丘堆積物と考えられるが,この段丘堆積物の分布高度は,最も高いB8−4孔に対してB8−3孔で約1.5m,ほぼ同様の高度を示すB8−1,2孔とでは約5mの高度差が存在する。 

B8−3孔とB8−4孔の高度差は被覆するローム層の厚さがほぼ等しいことから,砂礫層堆積後の変形(撓曲)による可能性が高く,B8−1,2孔の高度差は断層活動によって生じた高度差を,支流性堆積物が浸食することによってより大きくなっている可能性が考えられる。