(1)紋別地区

(1)紋別地区(その1)

1)地層記載

B7−1孔

B7−1孔では地表から深度0.32mまでが,耕作土となっている。深度0.32〜0.88mまでは黒色から暗灰色の腐植土となっており下部ほど腐植の程度が弱く細礫が点在する。深度0.88〜1.52mには黄灰色のロームが観察されるが,径5mm以下の細礫が混じり全体に砂質となっている。

深度1.52m以下は深度15.50mまですべて砂礫層となっている。砂礫層は,円礫〜亜角礫で,最大径は160mmを超す。礫種は花崗岩類,泥岩。砂岩などが主体となっており,まれに片麻岩なども見られる。礫の粒径・円磨度・礫種から日高山脈上流部にまでおよぶ規模の大きい河川によって運搬・堆積した段丘堆積物と考えられる。砂礫層の基質は全体にシルト優勢であるが上部(深度1.52m〜9.50m付近)では砂も多く混入しており,深度4.61〜4.92mでは粗粒砂層も見られる。

深度15.50〜18.00mの間には固結した凝灰質礫岩が見られる。この礫岩は礫径20mm以下の黒色泥岩,緑色岩,白色酸性岩などで構成され,上位の段丘礫層とは礫径・礫種・固結度が大きく異なることから豊似川層の礫岩と考えられる。深度16.40〜16.55mでは傾斜70〜80°の網目状割れ目が多数観察される部分が確認された。

B7−2孔

B7−2孔では地表から深度0.23mまでが耕作土であり,深度0.23〜0.37mまでが黒色の強腐植土,深度0.37〜0.54mまでがやや腐植質の砂質ローム層,0.54〜0.77mまでが黒色の強腐植土となっている。

深度0.77〜16.50mまですべて砂礫層となっている。砂礫層は,円礫〜亜角礫で,最大径は150mmを超す。礫種は花崗岩類,泥岩。砂岩などが主体となっており,片麻岩なども見られる。礫の粒径・円磨度・礫種から日高山脈上流部にまでおよぶ規模の大きい河川によって運搬・堆積した段丘堆積物と考えられる。砂礫層の基質は全体にシルト優勢であるが上部(深度0.77m〜9.65m付近)では砂も多く混入しており,深度5.00〜9.65m間は砂がやや優勢である。

深度15.65〜20.00mの間には固結した凝灰質礫岩が見られる。この礫岩は礫径20mm以下の黒色泥岩,緑色岩などで構成され径5mm以下の白色軽石粒が多量に含まれる。

B7−3孔

B7−3孔では地表から深度0.30mまでが耕作土となっており,深度0.30〜1.22mまでは黄灰色のローム層となっている。このうち下部の0.65〜1.22mは細粒砂が混じる。深度1.22〜1.33mには,ロームをブロック状に取り込んだ黒色の強腐植土が観察されるが,層相からスライムの可能性が考えられるため,地層の対比は行わない。

深度1.33〜14.98mまでは砂礫層となっている。この砂礫層は亜円〜亜角礫で構成され,最大礫径は200mmを超す。礫種は花崗岩類,砂岩,泥岩を主体とし,基質は全体にシルト優勢である。

深度14.98〜20.00mまでは固結した粗粒砂岩となっており,16.75〜17.23mには白色の軽石を含む凝灰岩,17.23〜18.80には径15mm以下の細礫を含む礫岩が見られる。層理面およびラミナの傾斜は40°〜70°を示している。

B7−4孔

B7−4孔では地表から深度0.25mまでが耕作土となっている。深度0.25〜1.00mまでは黄灰色のローム層で全体に5mm以下の細礫が点在し下部は砂質となっている。深度1.00〜1.95mの間には比較的淘汰のよい粗流砂〜中粒砂と黒色の腐植土層が観察されるが,腐植層については,地層の存在に疑問な点があり,この部分のコアについては対比ならびに解析の対象から除外した。

深度1.95〜15.37までは,砂礫層となっている。砂礫層は円〜亜角礫によって構成され,礫種は花崗岩類,泥岩,砂岩などからなる。基質は上部1.95〜10.78m間では砂優勢であり,下部はシルト優勢となっている。最大礫径は上部では100mmを超え,下部では250mmを超える。

深度15.37〜15.68m間にはシルト層および礫混じりの粗粒砂がみられ,15.68〜16.70mの間には比較的淘汰の良い礫混じり粗粒砂が見られる。これらは,シルトをほとんど含まないことや,混入する礫種が一様なことなどから,少なくとも15.68〜16.70mの間は下部の豊似川層が掘削時に破壊された可能性が高いと判断した。深度16.70〜19.45mには凝灰質礫岩が見られ,19.45〜20.00mには凝灰質泥岩が確認された。

2)対比および解析

紋別地区で確認された地層は表層部の表土・腐植土・ローム質シルトおよびローム層と15m前後の層厚を持つ段丘堆積物,最下部で観察される凝灰質砂岩・礫岩・泥岩に大別される。

このうち,腐植層およびローム質シルトはB7−1,2孔に分布し,黄灰色のローム層はB7−3,4孔にのみ分布している。段丘堆積物の堆積頂面高度はB7−3,4孔でほぼ等しいが,B7−4孔と比較するとB7−2孔で約2m,B7−1孔で約2.5m低くなっている。また基盤岩である新第三系豊似川層の高度は,B7−3,4孔ではほぼ等しく,B7−2孔で約3.5m,B7−1孔で約2.5mB7−4孔に対して低くなっている。このことから,B7−2孔と3孔の間に断層が想定される。

(2)紋別地区(その2)

1)地層記載

B7−5孔

B7−5孔では地表から深度0.21mまでが耕作土であり,深度0.21〜0.53までが黒色の強腐植層,深度0.53〜0.71mまでが細礫混じり砂質シルト,深度0.71〜1.15mまでが中腐植から強腐植層で下部に細礫が点在する。

深度1.15〜4.00mはすべて砂礫層であり,円〜亜円礫で構成される。最大礫径は70mmを超え,礫種は花崗岩類,砂岩,泥岩が主体で基質はシルト質砂である。

B7−6孔

B7−6孔では地表から深度0.30mまでが耕作土で,深度0.30〜0.40mまでが中腐植土となっている。深度0.40〜1.20mは全体に腐植質のローム質シルトであり,0.89〜1.00mに砂・細礫層が見られる。深度1.20〜1.41mは黒色の強〜中腐植層で下部はやや砂質となっている。腐植層は深度1.55mまで連続するが礫を含むようになり,最下部では礫間に腐植土が充填されている。

深度1.55〜20.00mはすべて砂礫層となっている。砂礫層は円〜亜角礫によって構成され,礫種は花崗岩類・泥岩・砂岩が主体となっている。礫層の基質は上部でやや砂質であり,深度4.00m付近や6.00m付近には比較的淘汰の良い砂層が観察される。下部の基質はシルトが優勢である。最大礫径は上部で180mm以上,下部では350mmを超える。

B7−7孔

B7−7孔では地表から0.34mまでが耕作土で,深度0.34〜1.00mまでは礫混じりの中〜弱腐植土層となっている。深度1.00〜1.51mにはローム質シルトがみられ,下部ほど礫の混入が多くやや腐植質となる。

深度1.51〜22.00mは,すべて砂礫層となっている。砂礫層は円〜亜角礫によって構成され,礫種は花崗岩類・泥岩・砂岩が主体となっている。礫層の基質は上部で砂質であり,深度10.00m付近には比較的淘汰の良い砂層が観察される。下部の基質はシルトが優勢である。最大礫径は250mmを超え下部では花崗岩類の風化礫が目立つ。

B7−8孔

B7−8孔では深度0.52mまでが耕作土となっている。この下位深度0.52〜4.00mまでは砂礫層であり円〜亜円礫で構成される。最大礫径は100mmを超え,礫種は花崗岩類,砂岩,泥岩が主体で基質はシルト質砂である。最上部の深度0.52〜0.61mの間は基質がややローム質となっている。

2)対比および解析

紋別地区(2)で確認された地層は,耕作土を除くと表層部の腐植層,礫混じり腐植質シルト層,ローム質シルト層と下位の砂礫層に区分される。腐植層および礫混じり腐植質シルトはB7−5,6孔に分布し,ローム層はB7−7孔にのみ観察される。砂礫層頂面の分布高度はB7−8孔とB7−6孔で約1m程度である。この高度差は,断層活動による撓曲や侵食による可能性などが考えられるが,ボーリング調査の結果からは判断されない。