(3)調査方法

−1 反射法とは

地表面での人工的な振動(震源)により発生した弾性波が地下に伝播する途中で地層境界面に入射すると、そのエネルギーの一部が反射して地表に戻ってくる。このような反射波は互いに異なった物性(地震波速度・密度)をもつ地層境界面で起こる。その強度(反射エネルギー)は、地層境界面での音響インピーダンス(地震波速度と密度との積)の差から定義される反射係数に比例する(図3−2−1−2)。

反射記録断面図上での連続した反射波(反射イベント)は、その反射波に沿って物性の境界面(反射面)が存在することを意味する。このような反射波を地表面に敷設した受振器(小型地震計)で観測して、地下構造を解析する探査手法を反射法地震探査と呼ぶ(図3−2−1−3)。

浅層反射法とは、浅部の詳細な地下構造を対象とした反射法であり、高い分解能が要求される。そのため、通常、受振点間隔を細かく設定し、高周波数成分を多く含んだ震源を用いる。

−2 共通反射点重合法

反射法では、一つの発震点に対して多数の受振点(マルチチャンネル)で測定する。図3−2−1−4に示すように、発震点間隔を受振点間隔の整数倍とすれば、発震点と受振点の中点の位置は、受振点間隔の1/2の間隔で、規則正しく並ぶことになる。このような中点を共通反射点と呼ぶ。共通反射点は、CMPあるいは伝統的にCDP (Common Depth Point)と呼ばれている。個々の測定データの発震点と受振点の組合せは、CDPとオフセット距離(発震点と受振点間の距離)としても表現できる。同一のCDPを構成する記録(トレース)の集合をCDPギャザーと呼ぶ。

CDPギャザーを構成するトレースは、反射波の経路は異なっていても、水平構造であれば地下の反射点位置は同一であり、その走時は次のような双曲線で近似できる。式3−1

VrmsはRMS速度と呼ばれ、地表から反射面までの一種の平均速度である。

この原理に基づき、経路の異なった反射波をその共通反射点位置での垂直走時に変換(NMO)して加算することにより、調査測線に沿った反射記録断面図を作成することができる。このような手法を共通反射点重合法と呼ぶ。この手法は、次のような利点を持つ。

@ 反射波の走時とそのオフセット距離から(3.1)式に基づき、速度解析によりRMS速度を計算し、垂直走時変換補正量(NMO補正量)や隣接する地層間の区間速度を求めることができる。

A 異なった経路の反射波を重合することで、多重反射等の不要なイベントを消去して、S/Nを向上させることができる。

−3 データ取得方法の概要

<震源系>

起振車(バイブロサイス車)は、車体中央部のベースプレートを地面に圧着させた状態で、制御エレクトロニクス内の発振器の作り出した基準信号(連続的に周波数が変化するスイープシグナル)に従って、油圧によりベースプレート上のピストンを振動させ、その反力により地面に振動を与える。通常、車両に搭載され、発震点間を迅速に移動することができるので、非常に作業効率が良い。又、エネルギーを連続的な振動として、分散して与えるので、舗装道路上でも損傷を与えることなく使用することができる。車体重量をベースプレートにかけて振動させることことで、地面とのカップリング効果を高めている。受振記録については、図3−2−1−5に示すようなスイープシグナル(基準信号)との相互相関処理を行い、発破のようなインパルス震源と同等な記録とする。

<受振・記録系>

地表に設置した受振器で取得したデータの収録方法としては、観測車に搭載したデータ収録装置にすべての観測点データを集め、電子媒体に記録する方法が一般的である。一度に数百チャンネルの受振点で観測する場合、テレメトリー方式によるデータの収録が最も能率的な方式である。テレメトリー方式とは、各受振点の近傍で取得データのA/D変換を行い、本線ケーブルにより、そのディジタルデータを順次、探鉱機に伝送する仕組みである。図3−2−1−6にその模式図を示す。

受振については、数個の地震計を直列/並列に接続した受振器(小型地震計)を使用するのが一般的である。個々の受振器は、受振点を中心に測線に沿って数メートル間隔で設置する。地震計には通常10Hz前後の固有周波数を持った速度型(速度に比例した出力)のものが使用される。

−4 測定仕様

<震源>

震源 : 大型バイブレータ1台

小型バイブレータ1台

スイープ回数 : 3回(標準)

スイープ長 : 12 sec

スイープ周波数 : 10〜150 Hz

発振点間隔 : 5 m(標準)

発振点数 : 301点

<受振>

受振点間隔 : 5 m

展開長 : 約1.5km (固定展開 )

受振点数 : 301点

受振器 : ジオフォン (10Hz 3個組)

<記録>

記録装置 : GDAPS−3 ディジタルテレメトリーシステム

チャンネル数 : 301

サンプルレート : 1 msec

記録長(相互相関後) : 3 sec