(1)概 要

−1調査目的

十勝断層帯調査の一環として、ウツベツ川沿いに、その存在が指摘されている断層の位置、形状を把握することを目的として、推定断層線を横断する約1.5kmの測線において反射法地震探査により深度500m程度までの地下構造を解明する。

−2 調査地域

北海道帯広市空港南町周辺 (図3−2−1−1

−3 調査期間

・ 現地調査の準備・地元交渉 : 平成15年9月〜同年10月(随時)

・ 現地調査 : 平成15年10月5日 〜 同年10月11日

・ データ処理・解析 : 平成15年12月 〜 平成16年2月

−4 現地調査

@ 作業内容

1.5kmの調査測線において、バイブレータ震源による浅層反射法を実施した。

A 調査量

・測線長 : 1.5km

・受振点 : 301点

・発振点 : 301点

B 測量

受振点、発震点及び発破点の座標値を算出するために、RTK−GPS観測による測量を実施した。

−5 データ処理・解析

反射法データに対し、共通反射点重合法に基づくデータ処理を実施して、以下に示す図面類を作成した。

・ 重合断面図

・ マイグレーション時間断面図

・ 深度断面図

・ 速度プロファイル

・ 表層構造図

−6 結果の要約

(1) データ処理・解析結果

取得データの品質は非常に良好であり、海抜約−700m(地表からの深度約770m)までの反射面を捕捉することができた。反射イベントは全体的に連続性が良く、成層構造をなし、南東方向に緩やかに傾斜している。ウツベツ川右岸(南東側)から水平距離で約150mまでの区間において、海抜20mから海抜−70mの間で、わずかな反射イベントのうねりが見られたが、測線全体にわたり、断層の存在を示唆するような落差を伴った反射面の段差は確認できなかった。

浅層部の速度構造はウツベツ川を挟んで異なっており、南東側には、地表付近でP波速度1,600m/sec以下の低速度帯が存在するのに対し、北東側では、1600m/sec以上の速度を示すとともに、深度100m以浅に高速度(約1700m/sec)を示す反射イベントが存在するのが判明した。

(2) 断層に関する考察

測線全体にわたり有為な反射面の落差は確認できず、断層の存在を示す証拠は得られなかった。ウツベツ川を挟んで浅層部の速度構造が異なる点については、ウツベツ川右岸の地形的な盛り上がりとは逆に、低速度帯(P波速度1600m/sec以下)が形成されていること、海抜−70m以深で反射面が平坦であること、並びに北西側の高速度層がウツベツ川付近でせん滅していることから判断して、渋山層および池田層の堆積環境の違いを反映していると推定された。