4−1 活断層図の作成

平成14年度に作製した「空中写真判読図・地形面区分図」をベースとして,本年度調査の成果を加えてより詳細なものとして,新たに「活断層・地形面区分図(付図)」を作成した.断層帯の存在する知床半島基部山地と南東側平野の境界部から同山地にかけての範囲については地質分布主体の図(地質図)として表現し,新第三系分布域には地層の走向・傾斜を表示した.一方,平野地域については,区分した地形面毎に地形面の形成年代に限定した堆積物のみが存在するということにはならない.火山灰編年学(テフロクロノロジー)的にはより古いものほど,面構成層の表層部としてより古期から現在までの多数の火山灰層を含み,それとともにロームおよび腐植層を多数かつ厚く含むが,新しい火山灰層は新旧の面にほぼ水平に広がって分布しており,火山灰・ローム・腐植層をすべてきめ細かく区分して広い範囲について分布を示すことは至難の技である.さらに,面構成層の主体を成す礫層についても各面の礫層が重なる場合,露頭段階での相互の区分が容易でない場合がある.さらに,地層区分の鍵層となる厚い火山灰層(火砕流であるKPWなど)の分布が途切れている.これらの理由により,平野地域については地質図でなく,主として地形面区分図として表現した.

空中写真判読は5万分の1,2.5万分の1,5,000分の1地形図での判読を併用しながら行ったが,具体的には地形面区分とともに,断層その他のリニアメントについての抽出を試みた.これらの結果を現地踏査で確かめて最終的表現としたが,なお,次年度精査を行い確実なものとしたい.

文献収集および本調査(現地踏査・物理探査・ボーリング調査)に関連した露頭・調査地点・箇所・ルートなどの位置も表現した.