(5)火山灰分析結果

@S03−1−1.16について

ほぼ未水和のガラスと水和の完了したガラスの混在したローム層であると判断される.

未水和ガラスは水和層厚から非常に新しいテフラ起源であると考えられる.未水和ガラスの屈折率とガラスの形態など他の記載岩石学的特徴を考慮し,既往資料(中村ほか,2002;中村・平川,2003)と比較・検討すると,Ta−a・Ko−c2・Ma−bである可能性が推測される.しかし,数種類のテフラが混在することもあり,特定するには至っていない.

AS03−3−12.16について

Kpfk−Wであると判断される.火山ガラスの屈折率の最頻値は1.504であり,公表されているKc−4(Kpfl−W相当の広域テフラ)の火山ガラスの屈折率の最頻値が1.503−1.505(町田・新井,2003)と一致する.また,鉱物組成等のその他の記載岩石学的特徴,そして調査地域周辺で確認されている相当テフラの岩相,層序の比較・検討の結果からほぼ間違いないと考えられる.

なお,参考に実施した薄片の検鏡結果から強溶結していることが確認され,堆積時にはかなり高温であったことが推測される.

図3−4−13に火山灰分析の結果一覧を,図3−4−14に薄片検鏡の結果を示す.ただし,試料は深度10.88〜10.90m間で採取しており,試料番号はS03−3(10.88〜10.90m)とする.

図3−4−13 火山灰の分析結果一覧

図3−4−14 検鏡結果一覧