(3)S03−3孔(養老牛地区)

本地区ではリニアメントとして認定される帯状の地形変換部に着目し,その平野側(下盤側)で用地的な問題も考慮して位置を選定し,ボーリングを実施した.

図3−4−7にボーリング位置図,図3−4−8にボーリング柱状図を示し,確認した地質層序を表3−4−6で一覧する。

また,ボーリング調査に付随して行なった地点周辺の地表踏査結果も踏まえ,露頭層序とボーリング調査結果を対比するために,図3−4−9に地質断面図を作成した.

表3−4−6 S03−3孔(養老牛地区)層序表

[孔井地質の概要]

深度0.0〜0.4m:耕作土

多少攪乱され草根を混在する.      

深度0.4〜1.1m:腐植土

全体的に再堆積性の軽石円礫が散在する.0.43〜0.58m・0.77〜0.91m間は極細粒〜細粒砂.

深度1.1〜1.2m:軽石

逆級化構造が発達.亜角形状が主体で最大径3p.ロームか否かは不明.

深度1.2〜1.6m:砂〜シルト

一部葉理が発達.根痕が認められる.上部は土壌化が進み,1.30〜1.33m間腐植土を挟在する.

深度1.6〜1.9m:軽石混り砂

塊状で再堆積性の軽石円礫を多含する.上部は土壌化が進み,最上部には腐植土を伴う.

深度1.9〜2.9m:軽石〜火山灰

1.92〜2.60m間は塊状でラピリ・スコリアの散在する軽石(Ma−i).2.60〜2.70m間は青灰色のガラス質細粒火山灰(Ma−j).腐植土を挟在し,2.80〜2.88m間は風化の進む細粒火山灰(Ma−k?).

深度2.9〜3.6m:軽石混じりシルト

塊状で再堆積性の軽石円礫を混在し,根痕認められる.下位との境界は不明瞭で漸移的である.最上部に腐植土を伴う.3.05〜3.08m間は細礫層.

深度3.6〜4.7m:軽石質火山灰(Ma−l)

全体的に塊状で最下部には逆級化構造が認められる.軽石の最大径は4pで,円磨度は亜角が主体.

深度4.7〜5.4m:砂質シルト〜火山灰質砂

弱く葉理が発達し,炭質物を散在する砂質シルト〜ローム質の粗〜細粒砂.上部は軽石を多含する.炭質物の14C放射年代は12,420yBP.

深度5.4〜6.0m:砂礫

中礫を主体とし礫種は安山岩,溶結凝灰岩からなる.6.00〜6.03m間は細礫を主体とする砂礫.

深度6.0〜13.0m:溶結凝灰岩

安山岩ラピリが散在する非溶結〜強溶結火山礫凝灰岩.火山灰分析を実施し(S03−3−12.16),その記載岩石学的特徴から,Kpfl−Wであることを確認した.6.03〜8.00m間は非溶結.コアは礫状〜岩片状.8.00〜9.56m間は弱溶結で非溶結部に比較し固結度が増す.コアは岩片状〜棒状コア.9.56〜12.00m間は強溶結.黒色の溶結レンズが確認される.上下の非〜弱溶結物との境界は不明瞭.薄片作成・検鏡を実施し(S03−3−10.88),強溶結凝灰岩であることを確認した.12.00〜13.00m間は非溶結.フロー基底の非溶結部に相当すると推測される.

深度13.0〜15.5m:砂

結晶質(火山ガラス・鉱物)の中〜粗粒砂からなり50〜80p程度の単位で正級化構造が発達する.13.60〜13.86m間は細粒火山灰を挟在する軽石混り中〜粗粒砂.

深度15.5〜17.7m:軽石混り火山灰質砂

軽石が散在し,弱く葉理の発達する中〜粗粒砂.所々正級化構造が発達する.15.50m以深は固結度が増すことに加えて層理面が40〜50°程度で傾斜することから,幾品層の可能性も推測される.ただし,現段階では年代を確定する決定的な根拠(化石等)も確認されていない.17.21〜17.25m・17.34〜17.37m間は細粒火山灰.

深度17.7〜20.0m:火山灰質礫

円磨された中〜大礫を主体とし,一部巨礫(最大切り長10p)を混在する.基質は火山灰質シルト.礫種は安山岩・玄武岩・緑色凝灰岩・砂岩・軽石等が認められる.18.35〜18.53・19.00〜19.20m間は火山灰質シルトからなる.

図3−4−7 S03−3孔(養老牛地区)ボーリング位置図

図3−4−8 S03−3孔(養老牛地区)ボーリング柱状図

図3−4−9 養老牛地区S03−3孔付近の地質断面図(高さ:距離=25:1)