4−1−2 中富良野−ナマコ山断層の分布

御料断層の東側,ナマコ山の東縁を縁取る断層トレースで,下五区から八線にかけては,ほぼ南北の走向,鯨岡では北東走向となる.ナマコ山の東側斜面は,地形面が新しくなるほど傾斜は緩くなる傾斜度の異なる斜面からなり,扇状地形と複合している部分では,その境は漸移的である.そのため,地形の膨らみや撓みなど短周期の変動地形はみられず,幅最大500mの波長の傾動斜面がみられる.

名称に,中富良野と付けられていることから,中富良野町付近から連続的に分布していると考えられやすい.中富良野町から清水山付近にかけても,同様の撓曲〜傾動地形は連続する.しかし,前述した御料断層と同様に,空知川およびその氾濫源堆積物により分布が分断されており,連続性を示す確実な証拠はない.

空知川から十三線川付近にかけては,御料断層に接近する形に西へ湾曲する.それより,南部は,柳田ほか(1985)のつつじが丘断層に相当し,山部から芦別岳旧登山道入口を通過し南陽にかけての芦別山地東縁に分布する.走向は,芦別岳旧登山道入口で屈曲して,北北東から北北西にかわり,「くの字」をなす.十八線川より北方では,御料断層と連続しないが,背後(西方)に同様な逆向き低崖〜断層崖を伴う.南陽では,テクトニックバルジと見られる,背後がやや凹地状となる撓曲地形が見られる.芦別岳旧登山道入口(太陽の里)にT5面を切る低崖が判読されるが,現状は人工改変されて不明である.もみじ川沿いに分布する地形面には,やや波長の短い撓曲地形がみられる.二十五線川右岸に撓曲地形がみられるが,開析が著しい.その他は,山地との境界であり,沢の出口は扇状地であるため,低断層崖なのか,土石流のローブ末端なのか,地形のみでは判断できない.

以上から,中富良野−ナマコ山断層は,北より中富良野地域(空知川を含む低地伏在部):6km,下五区〜南陽地区:17kmであり,両方を合わせて23kmとなる.