3−5−2 ピット調査結果

本地点は,人工改変(水田)で段状の地形となっていることから,地形断面測量を実施し,断層の地形的位置を検討した上で,西側から,ピットA〜ピットFの6ヶ所を掘削した.各ピットにおける法面のスケッチと写真を図3−5−2−1図3−5−2−2図3−5−3−1図3−5−3−2図3−5−4−1図3−5−4−2図3−5−5−1図3−5−5−2図3−5−6−1図3−5−6−2図3−5−7−1図3−5−7−2に示す.また,火山灰分析の結果を図3−5−11に示す.

ピットA〜ピットFにおける堆積物は,上位より,盛土,旧表土,土石流堆積物,扇状地堆積物からなる.

ピットEにおいては,盛土直下の旧表土(黒色土壌)中に淡黄色を呈する細粒の軽石がパッチ状に分布する.軽石の産状などから,樽前aテフラ(Ta−a:AD1739;新編火山灰アトラス,2003)に対比される.

土石流堆積物は赤褐色を呈するローム質シルト層,亜円〜亜角礫層,砂層,シルト質礫層からなり,淘汰は極めて悪い.ピットD及びピットEでは,挟在するシルト層,礫層が著しく乱れた構造を示しており,この構造はインボリューションによるものと推定される.最下部のシルト質礫層は,ピットB及びその東側のピットに分布する.また,本堆積物の下部には,細粒火山灰層〜火山灰質シルト層が挟在しており,その層相や屈折率の特徴などから,支笏第1テフラ(Spfa−1:40ka〜45ka:新編火山灰アトラス,2003)に対比される(図3−5−11).

扇状地堆積物は亜円礫〜亜角礫の砂質礫層からなり,ピットA,ピットB及びピットCで確認され,ピットD〜ピットFではその層準に達していない.

いずれのピットにおいても,断層による変位を示唆する構造は確認されたかったものの,ピットD及びそれより東側のピットには扇状地堆積物の上面に達していないことから,地形断面から傾斜変換部が認められるピットD付近において,扇状地堆積物を構成する砂質礫層上面に東側低下の高度不連続が存在する可能性が残された.