3−4−2 ピット調査結果

本地点では,比高約3mの撓曲状の崖地形が認められることから,東側から,崖の肩部にピットAを,崖の斜面にピットBを,また,崖の基部付近にピットCをそれぞれ掘削した(図3−4−1).各ピットにおける法面のスケッチと写真を図3−4−2−1図3−4−2−2図3−4−3−1図3−4−3−2図3−4−4−1図3−4−4−2、に示す.

 ピットAでは,十勝火砕流堆積物(熔結凝灰岩)を起源とする亜円〜亜角礫のみからなる礫層が分布し,礫層のマトリックスも同熔結凝灰岩が風化した細砂〜シルト粒からなる.この堆積物は,その層相から東側のナマコ山に分布する十勝火砕流堆積物の熔結凝灰岩が地すべり等によりナマコ山西麓に堆積した斜面堆積物と考えられ,十勝熔結凝灰岩二次堆積物と呼ぶ.この堆積物は上方に向かってシルト優勢となり,表土に覆われる.十勝熔結凝灰岩二次堆積物中にはシルト及び細砂の薄層が挟在しており,これらはほぼ水平な層理を示す.

ピットBでは,十勝熔結凝灰岩二次堆積物およびその上位のシルト層とローム質礫層からなるT層が分布し,表土に覆われる.十勝熔結凝灰岩二次堆積物に挟在するシルト,砂の薄層は地形面の傾斜と同様に西傾斜しており,変形している可能性もある.

ピットCでは,東側に十勝熔結凝灰岩二次堆積物が,西側には芦別山地を構成する基盤岩の円礫からなる細礫層を主とする河成堆積物が分布しており,両者は指交関係にあることが確認される.上部には,これらを覆って,主にローム質礫層からなるT層が分布する.また,河成堆積物中に挟在する砂・シルトは,十勝熔結凝灰岩二次堆積物との境界付近において,やや乱れた褶曲状の構造を呈する.

上記3ヶ所のピット調査の結果では,明らかな断層変位を認めることができなかったが,ピットBにおいて十勝熔結凝灰岩二次堆積物中に地形面と調和的に西方に緩傾斜するシルト,砂の薄層が認められること,また,ピットCにおいて河成堆積物中にやや乱れた構造が認められることから,断層による変形が及んでいる可能性も残された.