(1)十四線川左岸・右岸〜勇振川左岸・右岸

西側隆起の三角末端崖〜断層崖がみられ,崖下にT3面が分布し,東に傾動している.崖を構成しているのは基盤のエゾ層群である.T3面は,東に傾斜しているが,その分布は崖を取り囲み,渓流沿いに回り込む形状を示す.T3面堆積物の露頭はないもの,地表をあるくと礫がバラバラとあることから礫層を含む堆積物である.その礫は,円摩をうけた河川成堆積物起源のみが見られ,崖推などの層相ではない.このことからT3面の傾斜は,テクトニックな傾動である可能性がある.傾斜変換点は基盤からなる崖斜面とT3面との境界,T3面とT5面の境界である.T3面が傾くことから,断層はここでもブラインド化して,伏在している可能性が高く,調査不適と判断した.

一方,勇振川の左岸,T5面にNW方向の低崖がみられる.崖の走向から,河川侵食とは考えずらく,テクトニックな可能性が高いと判断できる.しかし,現地で現況は著しい人工改変により形を変えており,調査不適と判断した.